同じ職場で働いている女の子の
田中さん(仮名)はとても可愛い。
彼女は現在、大学1年生なのだが、
高校に入学して以降、
彼氏がいない期間はほとんどないのだそうだ。
ある日の仕事の休憩中、
僕は田中さんと話をしていた。
話題は同僚の高橋さん(仮名)
についてだ。
ふと彼女は言った。
「あたし、高橋さんの前では
恋愛の話を一切しないんです」
「えっ?」
「だって、高橋さんの前で恋愛の話なんて
可哀そうでできないですよ」
高橋さんは20代後半の女性なのだが
容姿に恵まれてはいない。
正直言って不細工の中でも
突出して不細工な容姿をしている。
おまけに体型もかなり太め。
田中さんが話していたことは
僕にもよくわかる。
だが、この時、僕は
何とも言えない複雑な心境に
なっていた。
なぜなら、僕も昔、
高橋さんと同じ立場だったから。
僕の20代前半から半ば頃の
生活については、過去の日記には
ほとんど書いていないんだけれども
状況は相変わらず凄惨を極めていた。
この頃、僕は努めて明るく
振る舞っていたが、僕自身の人間性を
他人に理解してもらえるまでに
かなりの時間がかかったことが
記憶に残っている。
長期間にわたって僕と接している人は
僕のことを理解してくれていて
仲良くなれるのだが、特に初対面の人は
僕に対して冷たかった。
とあるパートさんの送別会に
出席した時、僕の目の前には20代半ばの
知らない女性が座っていた。
送別会が始まっておよそ1時間経過した頃、
その女性は僕に言った。
「気持ち悪いからこっち見ないで」
僕はショックだったが場の空気を壊さないために
笑って誤魔化していた。
このような飲みの席では同僚の多くは
恋愛トークに花を咲かせていたが
僕はその輪の中に入ることができなかった。
いや、正確に言うと、
輪の中に入ることが許されない雰囲気が
あったのである。
さて、ここまで一気に書いてきたんだけど
長くなりそうなのでこの続きは次回にしようと思う。
次回は「不細工というものの定義」について
考えていくことにしよう。