冬になると再び受験の季節になった。
今回は模試の成績が前年ほど悪くはなかったので
いけそうな気はしていた。
出願したのは医療系の私立大学。
全部で5校受験した。
しかし・・・
1校目:不合格
2校目:不合格
3校目:不合格
4校目:不合格
次々と不合格になり、
最後の1校に落ちたらどうしようもない状況になった。
その5校目の受験の帰りに起こった出来事が
いまでも記憶に刻まれている。
試験終了後、僕は大学から出ていた帰りのバスに乗り、
2人掛けの席に座った。
その席には同じく受験を終えたと思われる女の子が
先に座っていた。
その子は僕が座ると同時に、こちらを向き言った。
「うわ、キモ、最悪」
僕は突然目の前でそんなことを言われて
何も言い返すことができず、ただ黙って座っていた。
念のために書いておくけど、僕の顔や服に何か
気持ち悪いものが付いていたり、
鼻毛が飛び出したりしていたわけではない。
家に帰り、僕は親の前で涙を流した。
受験がうまくいかず、
心がボロボロになっていたのもあったんだけど
なんていうか、自分自身が情けなくて
涙が止まらなかった。
僕はその夜、泣いて、泣いて、泣き疲れて
いつの間にか眠ってしまっていた。