手術本番に向けて準備すべきことはたくさんあった。
まずは整形したことをバレないようにするための
事前の根回し。
職場の人には
「昔からの持病があって口腔内の手術をする」
といった嘘情報を
1か月ほど前から流し続けた。
こうしておけば、職場に復帰した時に
たとえ顔が腫れていたとしても、
口腔内の手術の影響のせいにして
誤魔化すことができる。
親に対しては、ちょっと長期間の旅行に行ってくるから
気にしないように、とだけ伝えておいた。
次に、持ち物の準備。
中でもとりわけ重要なのが食料だ。
そんなの現地で買えばいいじゃん、
と思うかもしれないが
実際に手術を経験してみると、
食料を持参することがいかに大事か
気づくことになるだろう。
僕が持っていった食料は
「ウイダーinゼリー(12個)」
「メイバランス(10個)」
「カップスープ(14個)」
「レトルトのごはん(6個)」
メイバランスは栄養調整食品であり、
ドラッグストアに売っている。
これとウイダーinゼリーは
持参することを強くお勧めする。
食料以外だと衣服に気を使った。
僕が手術を受けた季節は冬。
ソウルの冬は東京とは比較にならないほど寒い。
ダウンコートは個人的に必須だと思う。
あとは割り箸、ストロー、お椀型の紙皿といった
食事の際に使うものや
うがい薬を入れるための小型ボトルは
持っていくと役立つ、という情報があったので、
持参することにした。
輪郭の手術のダウンタイムは長いため、
働いている人は日程の調整をしなければならない。
僕は仕事を2週間休むことにしたのだが、
職業柄、簡単に休める仕事ではないので
手術数週間前からほぼ無休で働き続け、
無理やり休みを作り出した。
だが、その結果、最悪の事態
が発生することになる。
手術前日の夜、
僕は羽田空港のロビーにいた。
早朝に出発する便に乗らなければならなかったため、
時間的に空港のロビーで
夜を明かすしかなかったのである。
ロビーに設置されている椅子で寝ようとするが、
手術に対する緊張で全く眠ることができない。
さらに、ここまで働き詰めだったことが災いし
僕の体調は良いとは言えない状態だった。
結局一睡もせず、6時20分発の飛行機に乗り込み
9時に仁川国際空港に到着した。
つづく