20代も終わりに差し迫ったある日
それは起こった。
仕事帰りに携帯を確認すると、
親からメールがきていたのだ。
「にゃんたがご飯を食べないから今、
動物病院に連れて行ってる」
嫌な予感がした。
そしてその予感は的中した。
家に帰ると、みんな表情が暗い。
妹は部屋に籠って泣いていた。
動物病院の先生による診断は「悪性リンパ腫」
要するに「ガン」だ。
余命は2~3か月。
にゃんたはもう17歳だし、
抗がん剤治療を行ったところで
長くは生きられない。
僕は絶望した。
あんなに愛していたにゃんたがもうすぐ死んでしまう。
悲しくて悲しくてたまらなかった。
涙は際限なくあふれ出てきた。
では、どうしたらいい?
枕を涙で濡らしながら僕は考えた。
今思えば、この悲しい出来事が
僕の人生の分岐点(ターニングポイント)
になっていた。
今まで止まっていた人生の歯車が
ここから一気に動き出した。