僕はどうせ誰からも愛されない。
だから僕は猫に愛情を注いだ。
仕事から帰って疲れていても
にゃんたの姿を見ると癒された。
20代の頃、とある女性アイドルを
好きになったことがある。
「女性」というものを知らなかったから、
アイドルを「きっかけ」として
興味を持ったのかもしれない。
ライブにも何十回と行ったし、握手会にも参加した。
SNSで知り合った仲間と情報を交換し
一緒に遠い場所まで遠征しに行ったこともある。
でもなんとなく虚しかった。
魔法にかかった時間は永遠ではない。
アイドルはやはり“偶像”にすぎなかったのだ。
だからアイドルを愛することはやめにした。
そのかわり、猫を愛した。
僕はそんな時間が永遠に続くものだと思っていた。